自分を追い求めつづける ─ 『百冊で耕す』を読んで
「現状維持は後退」とはよく言ったもので、おおよそ、ぼくたちは進展のないものに魅力を感じない。スポーツ選手や起業家、ミュージシャンやアイドル。より高みを目指して自分を磨き続けている人たちにファンが多いのもうなずける。
さて、自分はどうだろう。スポットライトがあたるような成果はないが、過去最高の自分を毎年超えられている気がしている。
これは、本を読むようになったからだ。最初は、必要にかられてではあった。今は、ちょっとした趣味といってもいいくらいには、本を読んでいる。インプットの量が、アウトプットの質を高めている。
ライターの近藤康太郎さんの著書『百冊で耕す』を読んで、そう確信した。
この本は、読書術を説いた本だ。速読や積ん読、本から得たものをどう蓄積していくのか。そういうことも書いてある。だが、一番のメッセージは、読書によって「自分が変わり続ける」状態になれる、ということだ。
問いは、在るのではない。答えは、探すものではない。
問いも、答えも、自分が創るものだ。
それを可能にするのは、読書だけだ。 ─ 近藤康太郎『百冊で耕す』
本を読むと、感情が生まれる。喜怒哀楽、是非善悪、分かる、分からない。そうすると、自分を知ることができる。なるほど、自分はこういう人間だったのか。
自分を知ると問いが生まれる。「つまり、何なのか」「そこに何があるのか」「自分はどうしたいのか」。その答えを創るために、本を読みつづける。そして、また新たな自分を知る。この繰り返しなのだ。
情報やコンテンツがあふれかえっていると言われている現代。なぜ、こんな禅問答のようなことをするのか。
だって、その方が、人生おもしろいし、魅力的じゃあないですか。