チーム設計師の考え事

日々、考えていることをつらつらと

社内人材育成の本に書いてある内容を9つのあたりまえでまとめてみた

あたりまえのことを、あたりまえにやると、あたりまえに成果がでる。でも、そのためには地道な活動が必要なのだ。

最近、社内人材育成に関してそんなことを思っています。

ぼくのメインの仕事はチーム作りなのですが、社内の人材育成にも関わっています。研修の開発や講師をしたり、未来に向けて人材育成をどうするか検討することにも少し関わっています。

今年度は、本格的に先の事を考えるタイミングなので、「社内で人材を育成する」とはどういうことか勉強してみました。具体的には、人材育成に関する本を5冊ほど読みました。

そこから浮かび上がってきた社内人材育成の全体像を、3つのカテゴリと9つのあたりまえにまとめました。

読んだ本の内容をまとめた図
期待される人材像の明確化

とにもかくにも、「どういう人物がいるといいのか」がわからないと育成しようがありません。期待される人材像の明確化をするために、4つのあたりまえなことを考えていきます。

① 期待する人材像を定義する

未来の会社がどうありたいのか。そして、その時には社内にどういう人材がいるのか。まずは目標を考えます。

② 現状の分析をする

将来のことを考えたら、次は現状の分析です。今の社員の仕事、スキル、人数などを把握します。

③ 質と量の観点でギャップを整理

「今」と「未来」が見えたら、その間にある「差」が分かります。そのギャップがどれほどあるのか、人数やスキルレベルという具体的な内容に落としこんでいきます。

④ スキルとレベルを定義

ギャップを埋めるのには一足飛びではいきません。どんなスキルであっても、何段階かのステップがあるはずです。また、研修を受けたからといって、急に期待する人材の人数が増えることもないでしょう。どのような道のりで成長していくのかを明確にします。

育成促進のための教育体系の見直し

ここまでくると、育成について具体的なイメージができています。その育成を進めるための場を整えていきます。

⑤ 必要な研修の整理・拡充(OffJT)

獅子は我が子を千尋の谷に落とすのですが、仕事だとちょっと辛そうです。基本的なスキルはもちろん、専門的なスキルもある程度のインプットは必要でしょう。

そのための研修を、整理・拡充していきます。

また、研修の効果検証をするためのフィードバックの仕組みも整えます。

⑥ 実践する環境を整備(OJT)

知識がついたら次は実践です。研修だけでは「知っている」レベルから上にはいけません。「できる」レベルにするためには実践が必要不可欠です。
しかし、ただ経験するだけでは育成が進まないこともあります。指導やコーチング、仕事に対する動機づけやコミュニティの形成など、サポートすることも欠かせません。

育成・評価のサイクルの拡充

期待される人材の育成スキームが整ったとしても、それだけでは不十分です。社員ひとり一人の期待と不安を受け止める仕組みが必要です。

⑦ 期待する人材像へのキャリアの大枠を示す

具体的なキャリアイメージを定義し発信することで、自信のキャリアイメージを思い描けるようにします。

⑧ 適切な評価ができる環境を整える

期待される人材になる、あるいはなりつつある過程においても、その能力が評価されないことにはモチベーションが保てません。適切に評価するための設計や、マネジメント層への啓蒙や研修が必要です。

⑨ 新たな人材像への不安をフォローする仕組み作り

何かを変えようとするときに、人はどんな不安を抱くのか、そのためにはどのようなフォローが必要なのかを考えます。

人材育成の全体像を示す、使う言葉を吟味する、相談窓口を設ける、⑦や⑧を徹底するなどなど。

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ぼくは、新しい分野に取りかかるときには、本を複数冊読んでから動くようにしています。今後は、このまとめをベースに人材育成の検討に取り組み、内容をアップデートしていこうと思っています。

以下、読んだ本を簡単に紹介します。

 

企業内人材育成入門

この本を読めば、大体の全体感が整います。学習とはどういうことかについても学べます。おすすめ本。

トヨタ社内で人材改革をするために行った、泥臭い活動内容がとても参考になります。

「サラリーマンはプロでなければならない」。あたりまえのことをするって、難しい。

経営と人事の一体化について説いた本。これも、言われるとあたりまえだが、なかなか実行できていないのが現状だろう。

いろいろな会社の人材育成戦略が書かれています。全体像というよりは、個別の具体的事例として参考になります。

研修評価は「研修で学ばれたことが現場で実践されたかどうか」を問うこと。

研修に関わる人なら必読。

人材育成ハンドブック

用語を知るという意味では得るものはあった。しかし、今回の目的である具体的な施策や行動につながるような内容は、個人的にはなかった。