チーム設計師の考え事

日々、考えていることをつらつらと

研修の評価とは、現場で使えているかを問うこと

研修満足度とは、まったく違う景色が見えた。


チーム作りの仕事をしつつ、年間70回の社内研修にもかかわっている。

自分が講師をしたり、日程調整をしたり、社外講師と契約したり。チームには人材育成も影響を与えていると考えているし、「教える」ことはチームへのトレーニングに通じるところもある。研修業は、本業のレベルアップにもつながっている。


ある日、「社内でどれくらいの人材が育っているのか?」を検討する機会があった。ぼくはそのとき、「研修が人材育成にどれくらいの影響を与えているのか?」に答えることができなかった。

そこで、少しでもヒントを得るべく『「研修評価」」の教科書』を読んでみた。そこには衝撃的な一文が書いてあった。

研修満足度は操作しやすいため、研修講師にとっても都合がいい評価方法です。

たしかに、研修の終わりに前向きでポジティブなワークをすることで満足度は上がるだろう。これは容易に想像できる。

しかし、『講師・インストラクターハンドブック』にも書いてあるように、学んだことを現場で使えるようにすることが研修のただひとつの目的だ。研修に満足したかどうかではない。

ぼくは目的と評価方法のズレにより、人材育成に対する研修の効果を語ることができなかったのだ。


そこで、『「研修評価」」の教科書』に書いてある評価方法を参考に、社内でもトップレベルの満足度をたたき出す研修について調査をしてみた。満足度は必ずしも現場での活用につながらない。このことをずばりと表すデータを取ることができた。

この研修の平均満足度は、5段階中の4.8。10人の受講生のうち、8人は最高に満足しているという驚異の研修だ。

数ヶ月〜1年前にこの研修を受けた方々に対し、「研修の内容が現場で活かせていますか?」というアンケートをとった。結果は下記となった。

  • 活用していない:53%
  • 活用していて効果もあり:18%
  • 活用しているが効果はない:29%

視点を変えると、こんなにも印象が違う。研修で学んだことを効果的に使えているのは、偶然にも満足度とは真逆の結果になってしまった。

 

もちろん、現場で活用されていないからと言って、中身が悪いとは限らない。現場で使えるような内容にアップデートしたり、効果的な活用ができるようにサポートすることで、現場での活用を促すことができると思う。

 

新しい評価方法を得ることで、新しい研修の見方を得ることができた。人材がより育成できるような研修を作っていくため、この発見を活かしていこうと思う。

 

講師・インストラクターハンドブック

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